対象読者
本記事は以下の企業様向けです。
- 特定技能2号人材を採用したい企業
- 特に「溶接」など技能ベースで人材を探している企業
溶接のように分野をまたいで共通する技能の場合、企業側は「技能があれば採用できる」と考えがちです。しかし実際には、特定技能制度は分野ごとに厳密に管理されています。
さらに分野によっては協議会加入(例:JAIM)が受入要件となるため、制度を正しく理解していないと判断できないケースが多いのが実務です。
結論
特定技能2号から別分野の特定技能1号へ変更することは、制度上は可能です。ただし、基本的には推奨されません。
理由は、資格消滅・制度制限・実務リスクが大きすぎるためです。
理由①:在留資格は同時に保持できない
出入国在留管理庁の制度上、在留資格は同時に複数保持することができません。
たとえば、工業製品製造分野の特定技能2号を保有する人材が、造船・舶用工業分野の特定技能1号へ在留資格を変更した場合、従前の特定技能2号は消滅します。あわせて、2号取得のために満たした要件(試験合格)もリセットされ、再取得には改めて要件を満たす必要があります。
理由②:特定技能1号は通算5年まで
特定技能1号は全分野通算で5年までという制限があります。
そのため、すでに通算5年に近い人材、または5年を超えている人材が分野変更をしても在留資格変更が認められないケースがあります。結果として、試験勉強や申請費用が無駄になり、企業・本人双方に損失が発生します。
理由③:試験は受入前に必要
ある分野の特定技能2号の人を別分野で受け入れる場合、その別分野の評価試験の合格は受入申請前に必要です。受入後に試験を受けるという流れは認められていません。
理由④:協議会問題
例えば工業製品製造分野では、受入企業がJAIMに加入している必要があります。建設分野ならJACに加入している必要があります。
しかし、加入には申請が必要で必ずしも承認されるとは限りません。このため分野変更という選択が検討されるケースがあります
理由⑤:2号から別分野2号も現実的には困難
制度上は、ある分野の特定技能2号を保持したまま、その分野以外の特定技能2号へ移行することは可能です。しかし実務上は大きなハードルがあります。
それは大抵の特定技能2号評価試験には職長相当の実務経験が2年以上必要だからです。
Aという分野で特定技能2号評価試験を受験して最短で合格したとしても、その時点でAという分野の経験がほぼ3年になっている状態です。残りの特定技能1号の期間は長くても2年ちょっとになっている事でしょう。
ほとんどのケースで特定技能1号の残りの期間が2年未満でしょうから、評価試験の受験要件を満たせないということになり、実質的に移行はできないということになります。
つまり「制度上は可能でも、実務上は成立しないケースがほとんど」です。
STRUCTSの判断
STRUCTSでは原則として特定技能2号から別分野の特定技能1号へ変更する選択は止めます。
その理由は2号資格の喪失、制度上の制約が大きい、リスクに対してリターンが小さいという3つの大きなデメリットがあるからです。
まとめ
特定技能制度において最も重要な前提は、「在留資格は同時に複数保持できない」という点です。
この前提を理解せずに分野変更を進めると、取り返しのつかない判断ミスにつながる可能性があります。分野変更を検討する場合は、現職の在留資格・要件・将来のキャリアパスを総合的に判断することが必要です。
※本記事は2026年4月時点の制度に基づきます。最新情報は出入国在留管理庁および各分野所管官庁の公表資料をご確認ください。