「うちの1号の子が、そろそろ5年になる。2号に上げられるのか」。この記事は、そう考えている受入企業のための記事です。制度のしくみではなく、自社が当てはまるかどうかを判定できるところまで書きます。
特定技能2号になれるかどうかは、3つで決まります。順に、①自社の分野に2号があるか ②会社が証明できる実務経験が足りているか ③分野の試験に受かるか、です。①と②が条件、③が試験です。いちばん多くの人が落ちるのは①自社の分野に2号があるか、です。特定技能1号は17分野ありますが、2号があるのは11分野しかありません。
まず結論|条件は2つ、そのうえで試験。最初の条件で6分野が落ちる
2号は「1号を5年やれば上がれるもの」ではありません。実務経験と試験で、別に取り直すものです。
条件1|自社の分野に2号があるか。1号の17分野と同じではない
自社の分野が右列で「×」なら、この記事の続きは読まなくて大丈夫です。2号への道は今のところありません。
2023年8月に「介護以外の全分野で2号ができる」と報じられました。それは当時は正しかったのですが、その後1号の分野が増えたぶん、2号のない分野が増えています。いま2号のない分野は、介護を含めて6つです。
| 特定産業分野 | 1号 | 2号 | 2号がない分野の事情 |
|---|---|---|---|
| 介護 | ○ | × | 在留資格「介護」があるため対象外 |
| ビルクリーニング | ○ | ○ | - |
| リネンサプライ | ○ | × | 2026年6月に新設されたばかりの分野 |
| 工業製品製造業 | ○ | △ | 機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけ |
| 建設 | ○ | ○ | - |
| 造船・舶用工業 | ○ | ○ | - |
| 自動車整備 | ○ | ○ | - |
| 航空 | ○ | ○ | - |
| 宿泊 | ○ | ○ | - |
| 自動車運送業 | ○ | × | 2024年3月に追加された分野。2号は未設定 |
| 鉄道 | ○ | × | 同上 |
| 農業 | ○ | ○ | - |
| 漁業 | ○ | ○ | - |
| 飲食料品製造業 | ○ | ○ | - |
| 外食業 | ○ | ○ | - |
| 林業 | ○ | × | 2024年3月に追加された分野。2号は未設定 |
| 木材産業 | ○ | × | 同上 |
工業製品製造業だけ「△」にしてあります。この分野は1号の業務区分が17ありますが、2号があるのは機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけです。2026年6月に新しく増えた区分(家具製造・生コンクリート製造・ゴム製品製造など)は、すべて1号のみです。
なお「金属表面処理」の区分には、めっき・アルミニウム陽極酸化処理のほか、バフ研磨業も入ります。区分の名前だけで決めず、要領別冊にある「2号特定技能外国人が活動を行う事業所の産業」の一覧で、自社の業種(日本標準産業分類の細分類)が載っているかを確かめてください。
条件2|会社が証明できる実務経験が足りているか
求められる実務経験は分野ごとにバラバラです。「特定技能2号の条件は◯◯」と一本にまとめられるものではありません。
自社の行にだけ目を通してください。年数も、指導が要るかどうかも、分野で違います。
| 分野 | 求められる実務経験 |
|---|---|
| ビルクリーニング | 複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者として2年以上 |
| 工業製品製造業 | 製造業の現場で3年以上 |
| 建設 | 班長(複数の建設技能者を指導しながら作業し工程を管理する者)としての経験。CCUSの就業日数で確認。残っていない期間は経歴証明書 |
| 造船・舶用工業 | 複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者として2年以上 |
| 自動車整備 | 認証工場での3年以上(技能検定2級の合格者は不要) |
| 航空 | グランドハンドリング=技能者を指導した経験(年数の定めなし)/航空機整備=3年以上 |
| 宿泊 | 複数の従業員を指導しながらフロント・接客等に2年以上 |
| 農業 | 指導し工程を管理する者として2年以上、又は現場での3年以上 |
| 漁業 | 指揮監督者を補佐、又は作業員を指導し作業工程を管理する者として2年以上 |
| 飲食料品製造業 | 複数の作業員を指導しながら工程を管理する者として2年以上 |
| 外食業 | アルバイト等を指導・監督し店舗管理を補助する者(副店長等)として2年 |
「実務経験2年」は、ただ2年働いたことではありません
ほとんどの分野で求められているのは「人を指導して、工程を回していた2年」です。ここを取り違えると申請が通りません。
飲食料品製造業では、受け入れる時点で「工場長等の管理業務を補助することを前提に雇用し、役職等を命じて従事させる必要がある」とまで書かれています。外食業は「副店長、サブマネージャー等」と例示されています。2号にしたいなら、その2年が始まる前に役職を付けておくのが実務上の要点です。
例外もあります。自動車整備は認証工場での3年(指導の要件なし)、農業は指導ありなら2年・なしなら3年という二本立てです。工業製品製造業も条文上は「自らの判断で業務を遂行できる能力を要する業務」の3年で、指導の明示はありません。
建設だけは別建て|CCUSの就業日数がそのまま実務経験になる
建設分野の実務経験は、まず建設キャリアアップシステム(CCUS)に貯まった就業日数で確認されます。CCUSに残っていない期間は、経歴証明書で補えます。
要領別冊の書き方はこうです。能力評価基準のある職種はレベル3相当の「就業日数(職長+班長)」、対応する基準がない職種は「就業日数(職長+班長)が3年(勤務日数645日)以上」。CCUSの能力評価でレベル3を取っている人は、能力評価(レベル判定)結果通知書の写しを出せば、実務経験を証する書類(分野参考様式第6-3号)そのものが不要になります。
CCUSに履歴が残っていない期間は、分野参考様式第6-3号の別紙「経歴証明書」で証明します。誓約欄まで正確に書く必要があり、書くのは会社です。
ただし6-3号を出すには、本人があらかじめCCUSに登録されていることが前提です。CCUSへの登録そのものは避けて通れません。受入企業の側にも、建設業許可・CCUS登録・JAC(またはその構成団体)への所属という3つが要件としてかかります。
なお、国土交通大臣の認定を受ける「建設特定技能受入計画」は1号のためのものです。2号では認定は要りません。
試験|分野ごとに、受ける試験が違う
条件2つを満たしていても、分野の試験に受からなければ2号にはなれません。技能検定1級などで代えられる分野もあります。
| 分野 | 合格が必要な試験(いずれか)/日本語試験 |
|---|---|
| ビルクリーニング | 試験 ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験/技能検定1級(ビルクリーニング) 日本語試験 不要 |
| 工業製品製造業 | 試験 製造分野特定技能2号評価試験+ビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)の両方/技能検定1級 日本語試験 必要(N3以上) |
| 建設 | 試験 建設分野特定技能2号評価試験(土木/建築/ライフライン・設備)/技能検定1級/技能検定単一等級 日本語試験 不要 |
| 造船・舶用工業 | 試験 造船・舶用工業分野特定技能2号試験(造船/舶用機械/舶用電気電子機器)/技能検定1級 日本語試験 不要 |
| 自動車整備 | 試験 自動車整備分野特定技能2号評価試験/自動車整備士技能検定2級 日本語試験 不要 |
| 航空 | 試験 航空分野特定技能2号評価試験(空港グランドハンドリング/航空機整備)/航空従事者技能証明 日本語試験 必要(N3以上) |
| 宿泊 | 試験 宿泊分野特定技能2号評価試験 日本語試験 不要 |
| 農業 | 試験 2号農業技能測定試験(耕種農業全般/畜産農業全般) 日本語試験 不要 |
| 漁業 | 試験 2号漁業技能測定試験(漁業/養殖業) 日本語試験 必要(N3以上) |
| 飲食料品製造業 | 試験 飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験 日本語試験 不要 |
| 外食業 | 試験 外食業特定技能2号技能測定試験 日本語試験 必要(N3以上) |
日本語試験が2号の要件になっているのは、工業製品製造業・航空・漁業・外食業の4分野だけです(いずれもN3以上)。残る7分野は、2号の要件としての日本語試験はありません。「2号は日本語試験が要る」「2号は日本語試験が要らない」のどちらも、分野を見ずに言うと外れます。
なぜいま2号の話になるのか|1号は5年で必ず終わるから
特定技能1号は、通算5年で在留期間が尽きます。延長の制度はありません。
2019年4月に始まった制度なので、最初期に1号で入った人はすでに5年を使い切っています。技能実習3年+1号5年で働いてきた人なら、会社にいる期間は8年です。その人が9年目も同じ現場にいるための道は、いまのところ2号しかありません。
1号と2号で、会社側の負担がどう変わるか
2号になると、義務的支援10項目も、登録支援機関への委託費も、なくなります。ここが会社にとっていちばん大きい違いです。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 3年を超えない範囲で入管が個別に指定 | 3年・2年・1年・6か月のいずれか |
| 通算の上限 | 5年まで | 上限なし(更新の回数制限もない) |
| 家族の帯同 | 基本的に認められない | 要件を満たせば配偶者・子を呼べる |
| 支援計画 | 作成・実施が義務(義務的支援10項目) | 不要(支援計画の制度は1号だけ) |
| 登録支援機関 | 全部委託するか、自社支援するか | 委託の必要そのものがない |
| 委託費の目安 | 1人あたり月額 平均28,386円 | 0円 |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能(指導・工程管理ができる) |
| 日本語試験 | 全分野で必要 | 4分野だけ必要(工業製品製造業・航空・漁業・外食業) |
3人受け入れていれば、支援委託費だけで年間およそ100万円です。その3人が2号になれば、この費用は0になります。2号を「本人のため」と考えている会社が多いのですが、金額で見ると会社側の話でもあります。
なお、支援がなくなっても受入れ状況などの定期届出は残ります。特定技能の定期届出は2026年4月から年1回になりました(旧・四半期ごと)。ここは1号でも2号でも同じです。
ここが見落とされています|試験に受かった人の3分の1しか2号になっていない
2号評価試験の累計合格者は23,205人。ところが実際に特定技能2号で日本にいるのは7,955人です。
合格者には海外で受けた人や、まだ1号のままの人も含まれます。それでも差が大きい。詰まっているのは条件2、つまり実務経験のほうです。試験は本人が頑張れば受かりますが、「複数人を指導して工程を管理した2年」は会社が作らないと生まれません。
2号の在留者数そのものは急に増えています。2024年12月末は832人、2025年12月末は7,955人。1年で9.6倍です。分野別では飲食料品製造業2,251人(28.3%)、建設1,799人(22.6%)、農業1,282人(16.1%)、外食業1,056人(13.3%)の順。国籍はベトナムが5,855人で73.6%を占めます。
合格率は分野で8%から85%まで開いています
「2号の試験は難しい」と一般化できません。自社の分野の数字だけを見てください。
| 分野 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 2号の在留者数 |
|---|---|---|---|---|
| 建設 | 18,767 | 6,494 | 34.6% | 1,799 |
| 飲食料品製造業 | 10,324 | 5,610 | 54.3% | 2,251 |
| 農業 | 8,548 | 3,463 | 40.5% | 1,282 |
| 工業製品製造業 | 6,689 | 3,341 | 49.9% | 840 |
| 外食業 | 4,176 | 2,252 | 53.9% | 1,056 |
| 自動車整備 | 2,518 | 889 | 35.3% | 320 |
| 造船・舶用工業 | 1,142 | 970 | 84.9% | 336 |
| 漁業 | 362 | 86 | 23.8% | 21 |
| ビルクリーニング | 270 | 29 | 10.7% | 17 |
| 宿泊 | 192 | 62 | 32.3% | 30 |
| 航空 | 111 | 9 | 8.1% | 3 |
| 合計 | 53,099 | 23,205 | 43.7% | 7,955 |
造船・舶用工業の85%は、技能検定1級の合格者など、もともと水準を満たしている人が受けているためと考えられます。逆にビルクリーニングと航空は受験者そのものが少なく、母数が小さい数字なので「難しい」と決めつけないでください。
検索で上位に出てくる解説の、古くなっている4か所
2号は2023年8月に一気に広がった制度なので、当時書かれた記事がそのまま残っています。読むときは次の4点に気をつけてください。
| よく書かれていること | いまの取扱い |
|---|---|
| 「介護以外の全分野で2号になれる」 | その後1号の分野が増えました。2号がないのは介護・リネンサプライ・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の6分野 |
| 「2号に日本語試験は不要」 | 制度の建て付けはそのとおりですが、工業製品製造業・航空・漁業・外食業の4分野は分野側でN3以上を要件にしています |
| 「在留期間は3年・1年・6か月」 | いまは3年・2年・1年・6か月の4種類です |
| 「1号を5年やってから2号に上がる」 | 運用要領は「1号を経なくても2号の在留資格を取得することができます」と明記しています。1号は前提ではありません |
4つめは実務で効きます。試験に受かって実務経験があるなら、1号を経ずに海外から直接2号で呼ぶこともできます。あわせて、1号を5年やっても自動で2号になるわけではない、という当たり前のことも運用要領は念押ししています。
2026年8月20日から、申請に誓約書が1枚増えました
2号の在留諸申請では「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」(参考様式第1-32号)の提出が必要になりました。
入管庁が2026年8月5日に出した案内によると、2号の業務は技能実習生や1号と違うはずなのに、実際は同じ内容で申請されている例があったためです。誓約書には2号と1号・技能実習生の業務内容の違いと、その人から指導を受ける対象者を具体的に書きます。
記載内容と実際が違えば在留資格が取り消される可能性があり、虚偽の記載は特定技能所属機関の欠格事由に当たります。「とりあえず2号で出しておく」が通らなくなった、と読むのが実務的です。
在留期限に間に合わないときの「特定活動6か月」
書類が揃わないまま1号の期限が来る場合は、働きながら準備できる「特定活動(6月・就労可)」に変更する道があります。
ただし条件があります。この特定活動に変えるにも、技能試験と(必要な分野は)日本語試験に合格していて、実務要件を満たしていることが必要です。試験に受かっていない人は使えません。入管庁も「最近この申請が多く、審査期間の長期化につながっている」と名指しで注意を出しています。あてにせず、早く動くほうが確実です。
まとめ|会社が先にやることは3つ
2号は「本人が試験を受ける話」ではなく、「会社が2年前から役職と記録を用意する話」です。
| やること | 中身 | 誰が |
|---|---|---|
| 1. 分野を確かめる | 自社の分野・業務区分に2号があるか。工業製品製造業は3区分だけ | 会社 |
| 2. 役職を付ける | 複数人を指導し工程を管理する立場に置く。飲食料品製造業・外食業は役職の付与が前提と明記されている | 会社 |
| 3. 記録を残す | 実務経験証明書は会社が発行する書類。建設はCCUSの就業日数がそのまま証拠になる | 会社 |
| 4. 試験を受ける | 分野の2号評価試験。技能検定1級などの代替ルートがある分野も | 本人 |
4つのうち3つが会社の仕事です。「本人が受かったら考える」では、実務経験の2年が足りません。
STRUCTSは、山口県で自社の外国人材を自社で支援している会社です。特定技能の受入れについて、委託でも自社支援でも相談を受けています。お問い合わせはこちらからどうぞ。
補足
2号がない6分野の人はどうなるのか
介護は在留資格「介護」があります。国家資格の介護福祉士を取れば、在留期間の更新に上限がなくなり家族も呼べます。2号がない代わりに、別の道が先にある分野です。
リネンサプライ・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は、いずれも新しく1号に加わった分野です。2号が置かれるかどうかは今後の閣議決定次第で、現時点で「将来できる」と言い切れる材料はありません。
この記事で使った一次資料
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(提出書類一覧・在留期間)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」
- 出入国在留管理庁「特定の分野に係る要領別冊」各分野の本文・別表
- 出入国在留管理庁「特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description)」
- 出入国在留管理庁「2号特定技能外国人の業務内容について」(令和8年8月5日)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」「特定技能2号在留外国人数」(令和7年12月末現在・速報値)
- 出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」