「うちの1号の子が、そろそろ5年になる。2号に上げられるのか」。この記事は、そう考えている受入企業のための記事です。制度のしくみではなく、自社が当てはまるかどうかを判定できるところまで書きます。

特定技能2号になれるかどうかは、3つで決まります。順に、①自社の分野に2号があるか ②会社が証明できる実務経験が足りているか ③分野の試験に受かるか、です。①と②が条件、③が試験です。いちばん多くの人が落ちるのは①自社の分野に2号があるか、です。特定技能1号は17分野ありますが、2号があるのは11分野しかありません。

まず結論|条件は2つ、そのうえで試験。最初の条件で6分野が落ちる

2号は「1号を5年やれば上がれるもの」ではありません。実務経験と試験で、別に取り直すものです。

1号の本人 条件1 その分野に 2号があるか 6分野はここで終わり 介護・鉄道・林業ほか 条件2 実務経験が 足りているか 証明するのは会社 必要年数は2年か3年 試験 2号の試験に 受かるか 全体の合格率 約44% 分野差は8%〜85% 2号 2号になるまでに越えるもの=条件2つと試験

条件1|自社の分野に2号があるか。1号の17分野と同じではない

自社の分野が右列で「×」なら、この記事の続きは読まなくて大丈夫です。2号への道は今のところありません。

2023年8月に「介護以外の全分野で2号ができる」と報じられました。それは当時は正しかったのですが、その後1号の分野が増えたぶん、2号のない分野が増えています。いま2号のない分野は、介護を含めて6つです。

特定産業分野1号2号2号がない分野の事情
介護×在留資格「介護」があるため対象外
ビルクリーニング
リネンサプライ×2026年6月に新設されたばかりの分野
工業製品製造業機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけ
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
自動車運送業×2024年3月に追加された分野。2号は未設定
鉄道×同上
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
林業×2024年3月に追加された分野。2号は未設定
木材産業×同上
出入国在留管理庁「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧」(1号=第3表の1〜17/2号=第3表の1〜11)より作成。2026年8月時点。

工業製品製造業だけ「△」にしてあります。この分野は1号の業務区分が17ありますが、2号があるのは機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけです。2026年6月に新しく増えた区分(家具製造・生コンクリート製造・ゴム製品製造など)は、すべて1号のみです。

なお「金属表面処理」の区分には、めっき・アルミニウム陽極酸化処理のほか、バフ研磨業も入ります。区分の名前だけで決めず、要領別冊にある「2号特定技能外国人が活動を行う事業所の産業」の一覧で、自社の業種(日本標準産業分類の細分類)が載っているかを確かめてください。

条件2|会社が証明できる実務経験が足りているか

求められる実務経験は分野ごとにバラバラです。「特定技能2号の条件は◯◯」と一本にまとめられるものではありません。

自社の行にだけ目を通してください。年数も、指導が要るかどうかも、分野で違います。

分野求められる実務経験
ビルクリーニング複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者として2年以上
工業製品製造業製造業の現場で3年以上
建設班長(複数の建設技能者を指導しながら作業し工程を管理する者)としての経験。CCUSの就業日数で確認。残っていない期間は経歴証明書
造船・舶用工業複数の作業員を指揮・命令・管理する監督者として2年以上
自動車整備認証工場での3年以上(技能検定2級の合格者は不要)
航空グランドハンドリング=技能者を指導した経験(年数の定めなし)/航空機整備=3年以上
宿泊複数の従業員を指導しながらフロント・接客等に2年以上
農業指導し工程を管理する者として2年以上、又は現場での3年以上
漁業指揮監督者を補佐、又は作業員を指導し作業工程を管理する者として2年以上
飲食料品製造業複数の作業員を指導しながら工程を管理する者として2年以上
外食業アルバイト等を指導・監督し店舗管理を補助する者(副店長等)として2年
出入国在留管理庁「特定の分野に係る要領別冊」(各分野の本文・別表)より作成。2026年8月時点。

「実務経験2年」は、ただ2年働いたことではありません

ほとんどの分野で求められているのは「人を指導して、工程を回していた2年」です。ここを取り違えると申請が通りません。

入管が見ているのは、この立ち位置の違いです これは2号の実務経験にならない みんなと横に並んで、同じ作業を2年 これが2号の実務経験 本人 指導される側 複数人を指導しながら、工程を管理して2年

飲食料品製造業では、受け入れる時点で「工場長等の管理業務を補助することを前提に雇用し、役職等を命じて従事させる必要がある」とまで書かれています。外食業は「副店長、サブマネージャー等」と例示されています。2号にしたいなら、その2年が始まる前に役職を付けておくのが実務上の要点です。

例外もあります。自動車整備は認証工場での3年(指導の要件なし)、農業は指導ありなら2年・なしなら3年という二本立てです。工業製品製造業も条文上は「自らの判断で業務を遂行できる能力を要する業務」の3年で、指導の明示はありません。

建設だけは別建て|CCUSの就業日数がそのまま実務経験になる

建設分野の実務経験は、まず建設キャリアアップシステム(CCUS)に貯まった就業日数で確認されます。CCUSに残っていない期間は、経歴証明書で補えます。

要領別冊の書き方はこうです。能力評価基準のある職種はレベル3相当の「就業日数(職長+班長)」、対応する基準がない職種は「就業日数(職長+班長)が3年(勤務日数645日)以上」。CCUSの能力評価でレベル3を取っている人は、能力評価(レベル判定)結果通知書の写しを出せば、実務経験を証する書類(分野参考様式第6-3号)そのものが不要になります。

CCUSに履歴が残っていない期間は、分野参考様式第6-3号の別紙「経歴証明書」で証明します。誓約欄まで正確に書く必要があり、書くのは会社です。

ただし6-3号を出すには、本人があらかじめCCUSに登録されていることが前提です。CCUSへの登録そのものは避けて通れません。受入企業の側にも、建設業許可・CCUS登録・JAC(またはその構成団体)への所属という3つが要件としてかかります。

なお、国土交通大臣の認定を受ける「建設特定技能受入計画」は1号のためのものです。2号では認定は要りません。

試験|分野ごとに、受ける試験が違う

条件2つを満たしていても、分野の試験に受からなければ2号にはなれません。技能検定1級などで代えられる分野もあります。

分野合格が必要な試験(いずれか)/日本語試験
ビルクリーニング試験 ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験/技能検定1級(ビルクリーニング)
日本語試験 不要
工業製品製造業試験 製造分野特定技能2号評価試験+ビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)の両方/技能検定1級
日本語試験 必要(N3以上)
建設試験 建設分野特定技能2号評価試験(土木/建築/ライフライン・設備)/技能検定1級/技能検定単一等級
日本語試験 不要
造船・舶用工業試験 造船・舶用工業分野特定技能2号試験(造船/舶用機械/舶用電気電子機器)/技能検定1級
日本語試験 不要
自動車整備試験 自動車整備分野特定技能2号評価試験/自動車整備士技能検定2級
日本語試験 不要
航空試験 航空分野特定技能2号評価試験(空港グランドハンドリング/航空機整備)/航空従事者技能証明
日本語試験 必要(N3以上)
宿泊試験 宿泊分野特定技能2号評価試験
日本語試験 不要
農業試験 2号農業技能測定試験(耕種農業全般/畜産農業全般)
日本語試験 不要
漁業試験 2号漁業技能測定試験(漁業/養殖業)
日本語試験 必要(N3以上)
飲食料品製造業試験 飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験
日本語試験 不要
外食業試験 外食業特定技能2号技能測定試験
日本語試験 必要(N3以上)
出入国在留管理庁「特定の分野に係る要領別冊」(各分野の本文・別表)より作成。2026年8月時点。

日本語試験が2号の要件になっているのは、工業製品製造業・航空・漁業・外食業の4分野だけです(いずれもN3以上)。残る7分野は、2号の要件としての日本語試験はありません。「2号は日本語試験が要る」「2号は日本語試験が要らない」のどちらも、分野を見ずに言うと外れます。

なぜいま2号の話になるのか|1号は5年で必ず終わるから

特定技能1号は、通算5年で在留期間が尽きます。延長の制度はありません。

2019年4月に始まった制度なので、最初期に1号で入った人はすでに5年を使い切っています。技能実習3年+1号5年で働いてきた人なら、会社にいる期間は8年です。その人が9年目も同じ現場にいるための道は、いまのところ2号しかありません。

1号の5年が終わる日に、道は2つに分かれる 特定技能1号 通算5年でおしまい。延長はできない 特定技能2号にする 更新の回数に制限なし。家族も呼べる 帰国してもらう 現場を回していた戦力が、いなくなる 現場を覚えきった人ほど、 先に期限が来ます

1号と2号で、会社側の負担がどう変わるか

2号になると、義務的支援10項目も、登録支援機関への委託費も、なくなります。ここが会社にとっていちばん大きい違いです。

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間3年を超えない範囲で入管が個別に指定3年・2年・1年・6か月のいずれか
通算の上限5年まで上限なし(更新の回数制限もない)
家族の帯同基本的に認められない要件を満たせば配偶者・子を呼べる
支援計画作成・実施が義務(義務的支援10項目)不要(支援計画の制度は1号だけ)
登録支援機関全部委託するか、自社支援するか委託の必要そのものがない
委託費の目安1人あたり月額 平均28,386円0円
技能水準相当程度の知識・経験熟練した技能(指導・工程管理ができる)
日本語試験全分野で必要4分野だけ必要(工業製品製造業・航空・漁業・外食業)
在留期間は出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」および「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」による。委託費の平均は入管庁の有識者会議資料(令和4年調査)による。

3人受け入れていれば、支援委託費だけで年間およそ100万円です。その3人が2号になれば、この費用は0になります。2号を「本人のため」と考えている会社が多いのですが、金額で見ると会社側の話でもあります。

なお、支援がなくなっても受入れ状況などの定期届出は残ります。特定技能の定期届出は2026年4月から年1回になりました(旧・四半期ごと)。ここは1号でも2号でも同じです。

ここが見落とされています|試験に受かった人の3分の1しか2号になっていない

2号評価試験の累計合格者は23,205人。ところが実際に特定技能2号で日本にいるのは7,955人です。

試験に受かることと、2号になることは別です 2号評価試験の合格者(累計) 23,205 受験は53,099人。合格率は約44% 実際に2号で在留している人 7,955 合格者の約3分の1。特定技能全体の2.0%

合格者には海外で受けた人や、まだ1号のままの人も含まれます。それでも差が大きい。詰まっているのは条件2、つまり実務経験のほうです。試験は本人が頑張れば受かりますが、「複数人を指導して工程を管理した2年」は会社が作らないと生まれません。

2号の在留者数そのものは急に増えています。2024年12月末は832人、2025年12月末は7,955人。1年で9.6倍です。分野別では飲食料品製造業2,251人(28.3%)、建設1,799人(22.6%)、農業1,282人(16.1%)、外食業1,056人(13.3%)の順。国籍はベトナムが5,855人で73.6%を占めます。

合格率は分野で8%から85%まで開いています

「2号の試験は難しい」と一般化できません。自社の分野の数字だけを見てください。

分野別・特定技能2号評価試験の合格率制度開始から2025年12月末までの累計(受験者数に対する合格者数)造船・舶用工業85%飲食料品製造業54%外食業54%工業製品製造業50%農業41%自動車整備35%建設35%宿泊32%漁業24%ビルクリーニング11%航空8%
分野受験者数合格者数合格率2号の在留者数
建設18,7676,49434.6%1,799
飲食料品製造業10,3245,61054.3%2,251
農業8,5483,46340.5%1,282
工業製品製造業6,6893,34149.9%840
外食業4,1762,25253.9%1,056
自動車整備2,51888935.3%320
造船・舶用工業1,14297084.9%336
漁業3628623.8%21
ビルクリーニング2702910.7%17
宿泊1926232.3%30
航空11198.1%3
合計53,09923,20543.7%7,955
受験者数・合格者数は制度開始から2025年12月末までの累計。出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況⑤」および「特定技能2号在留外国人数 第1表」(いずれも令和7年12月末現在・速報値)より作成。合格率は筆者算出。

造船・舶用工業の85%は、技能検定1級の合格者など、もともと水準を満たしている人が受けているためと考えられます。逆にビルクリーニングと航空は受験者そのものが少なく、母数が小さい数字なので「難しい」と決めつけないでください。

検索で上位に出てくる解説の、古くなっている4か所

2号は2023年8月に一気に広がった制度なので、当時書かれた記事がそのまま残っています。読むときは次の4点に気をつけてください。

よく書かれていることいまの取扱い
「介護以外の全分野で2号になれる」その後1号の分野が増えました。2号がないのは介護・リネンサプライ・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の6分野
「2号に日本語試験は不要」制度の建て付けはそのとおりですが、工業製品製造業・航空・漁業・外食業の4分野は分野側でN3以上を要件にしています
「在留期間は3年・1年・6か月」いまは3年・2年・1年・6か月の4種類です
「1号を5年やってから2号に上がる」運用要領は「1号を経なくても2号の在留資格を取得することができます」と明記しています。1号は前提ではありません

4つめは実務で効きます。試験に受かって実務経験があるなら、1号を経ずに海外から直接2号で呼ぶこともできます。あわせて、1号を5年やっても自動で2号になるわけではない、という当たり前のことも運用要領は念押ししています。

2026年8月20日から、申請に誓約書が1枚増えました

2号の在留諸申請では「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書」(参考様式第1-32号)の提出が必要になりました。

入管庁が2026年8月5日に出した案内によると、2号の業務は技能実習生や1号と違うはずなのに、実際は同じ内容で申請されている例があったためです。誓約書には2号と1号・技能実習生の業務内容の違いと、その人から指導を受ける対象者を具体的に書きます。

記載内容と実際が違えば在留資格が取り消される可能性があり、虚偽の記載は特定技能所属機関の欠格事由に当たります。「とりあえず2号で出しておく」が通らなくなった、と読むのが実務的です。

在留期限に間に合わないときの「特定活動6か月」

書類が揃わないまま1号の期限が来る場合は、働きながら準備できる「特定活動(6月・就労可)」に変更する道があります。

ただし条件があります。この特定活動に変えるにも、技能試験と(必要な分野は)日本語試験に合格していて、実務要件を満たしていることが必要です。試験に受かっていない人は使えません。入管庁も「最近この申請が多く、審査期間の長期化につながっている」と名指しで注意を出しています。あてにせず、早く動くほうが確実です。

まとめ|会社が先にやることは3つ

2号は「本人が試験を受ける話」ではなく、「会社が2年前から役職と記録を用意する話」です。

2号にするなら、逆算するとこうなります 2年以上前 役職を付けて、指導させる 建設はCCUS登録も 1年前 試験の日程を確認して申込む 合格後 実務経験証明書を会社が書く 在留資格変更 誓約書も添えて申請
やること中身誰が
1. 分野を確かめる自社の分野・業務区分に2号があるか。工業製品製造業は3区分だけ会社
2. 役職を付ける複数人を指導し工程を管理する立場に置く。飲食料品製造業・外食業は役職の付与が前提と明記されている会社
3. 記録を残す実務経験証明書は会社が発行する書類。建設はCCUSの就業日数がそのまま証拠になる会社
4. 試験を受ける分野の2号評価試験。技能検定1級などの代替ルートがある分野も本人

4つのうち3つが会社の仕事です。「本人が受かったら考える」では、実務経験の2年が足りません。

STRUCTSは、山口県で自社の外国人材を自社で支援している会社です。特定技能の受入れについて、委託でも自社支援でも相談を受けています。お問い合わせはこちらからどうぞ。

補足

2号がない6分野の人はどうなるのか

介護は在留資格「介護」があります。国家資格の介護福祉士を取れば、在留期間の更新に上限がなくなり家族も呼べます。2号がない代わりに、別の道が先にある分野です。

リネンサプライ・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は、いずれも新しく1号に加わった分野です。2号が置かれるかどうかは今後の閣議決定次第で、現時点で「将来できる」と言い切れる材料はありません。

この記事で使った一次資料

  • 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(提出書類一覧・在留期間)
  • 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」
  • 出入国在留管理庁「特定の分野に係る要領別冊」各分野の本文・別表
  • 出入国在留管理庁「特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description)」
  • 出入国在留管理庁「2号特定技能外国人の業務内容について」(令和8年8月5日)
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」「特定技能2号在留外国人数」(令和7年12月末現在・速報値)
  • 出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」

あわせて読む